認知症の方で、時折「こわいこわい」とつぶやきながら歩く方がいます。 そこにはいろいろな思いがあり、その気持ちに耳を傾けるのが介護士の仕事なのですがここで困ったことが一つ・・・ あれ、この場合のこわいって、怖いと恐いのどっ […]
認知症の方で、時折「こわいこわい」とつぶやきながら歩く方がいます。
そこにはいろいろな思いがあり、その気持ちに耳を傾けるのが介護士の仕事なのですがここで困ったことが一つ・・・
あれ、この場合のこわいって、怖いと恐いのどっちなの!?
というわけで、今回は二つのこわいについてその意味の違いや使い分けについて説明していきたいと思います。
怖いの意味
まずは、怖いの意味について説明していきたいと思います。
皆さんはこの「怖い」の文字、いったいどんな意味を思い浮かべるでしょうか?
辞書にて調べてみたところ、
- おそろしい
- 悪い結果が予想され、近寄りたくない
- 驚くべきである
という結果が出てきました。
単純な恐怖だけでなく、近寄りたくないといった嫌悪感や驚嘆する出来事に対しても「怖い」という文字を使うことができるようです。
そして、辞書やその他この言葉が使われている事例を調べてみたところ、怖いについてある事実が分かりました。
「怖い」は主観的な恐怖に対して用いる言葉だということです。
詳しい説明は二つのこわいの違いについてで述べますので、ここでは怖い=主観的な恐怖に対する言葉とだけ覚えておいてください。
恐いの意味
それでは、次は恐いの意味についてです。
こちらの恐いはどういった時によく見る漢字でしょうか?
- 恐竜
- 恐れ
- 恐怖
等の言葉に用いられていますよね。
さて、こちらの恐いですが、辞書で調べてみたところ驚くべき事実が明らかになったのです。
そう・・・
怖いと全く同じ意味が載っていました(笑)
つまり、恐いの方にも
- おそろしい
- 悪い結果が予想され、近寄りたくない
- 驚くべきである
という説明が載せられていたのです。
・・・なんとなく、ただ辞書を作った側が楽をしようとしたのではないかと勘ぐってしまうのは私だけでしょうか?
ともあれ、意味だけで見ると怖いも恐いも、全く同じ言葉と言えるのです。
そこで、恐いと同じ字を用いている「恐ろしい」について調べてみたところ、
- 対象が危害を与えそうで不安になる
- 驚くべきものである
とありました。
これらを「恐い」の意味に当てはめるなら、客観的な恐怖について述べているということです。
二つの「こわい」
それでは、二つの「こわい」について説明していきます。
先ほど書いたように、怖いも恐いも、意味自体は一緒です。
ですが、主観的な恐怖に対して用いるか、あるいは客観的な恐怖に対して用いるかでその用途が決まっていくようです。
意味の違い
まずは、意味の違いについて。先ほど、
怖い=主観的な恐怖
と書きました。
これはつまり、「怖い」は、万人ではなくある特定の人物が怖いと感じる物や人、出来事に対して用いる言葉だということです。
例文をいくつか紹介します。
- 後ろから歩いてくるあの男が怖い
- 昨日の夜、怖い夢を見て跳び起きたよ!!
- 不倫がばれてしまった・・・彼女からの電話が怖い
このような場合には、恐いではなく怖いを用いることが多いようです。
何故なら、例文の恐怖の対象は、必ずしもすべての人にとって恐怖の対象ではないからです。
例えば、怖い夢
これは、子供ならピーマンに追い掛け回される夢は恐いでしょうが、大人がその夢を見ても何ともありません(まあ、あまり気分はよくないでしょうが(-_-;)
更に、彼女からの電話。
彼女からの電話が怖い人もいれば、いつ大好きな女性から電話がかかってくるか心待ちにしている人も多いでしょう。
このように、人によって恐いと感じる人もいればそうでないと感じる人もいる場合には「怖い」の文字を用いるのが適切と言えるでしょう。
一方で、客観的な恐怖に対して用いると説明した「恐い」。
こちらは客観的、つまり誰からも恐怖や畏怖の対象となるものに対して用いられる言葉です。
ここで、最初に説明した「恐」の字を用いた例文に戻ります。
- 恐竜・・・誰から見ても恐ろしい生物です
- 恐れ・・・文字通り、何かを恐れているということです
- 恐怖・・・恐ろしく怖い、つまりものすごく怖い状態を指します
これらの言葉、どれもすべての人にとっての恐怖を表していると思いませんか?
このように、だれに対しても絶対的な恐怖を与えるような物事に関しては「恐い」を用いるのが一般的なようです。
使い分け
それでは、怖いと恐いの使い分けについて説明していきます。
いろいろ難しく書いてしまい申し訳ありませんでした。
ここからは、簡単に噛み砕いて説明します。
怖いか恐いか迷ったら・・・
- 自分だけが怖いもの(怖い夢・おばけ・占いの結果等)は怖い
- 誰であっても恐怖を感じるもの(未知の恐怖・過去の凶悪な事件)は恐い
と使い分けてくださいね。
実は恐いは・・・
いかがだったでしょうか?
今回は、怖いと恐いの意味の違いや使い分けについて説明していきました。
ここまで読み進めていただきありがとうございます。
最後にとっておきの事実を紹介しておきます。
実は恐いは・・・常用漢字ではありませんΣ(・□・;)
辞書によっては載っていないものもあります。
実際、新聞や公式文書などではすべての「こわい」という字に対して「怖い」、あるいはそのままひらがなでこわいと書かれています。
あくまで常用漢字ではないだけですので、日常生活で使っても問題ありません。
ですが、一般的に用いられているのはやはり「怖い」のようです。
皆さんが、もし今後「こわい」の使い分けに困った際には
怖い
の方を活用してください。
基本的にこちらを書いておけば間違いはありません。
公式の文書や学校のテストなどでは「恐い」を用いると間違えとみなされる場合があります。
「恐い」の字を用いてしまいテストで赤点、こんな未来を考えるとそれだけもう・・・怖いですよね。