「修業」と「修行」は、どちらも「しゅぎょう」と読みます。 そしてどちらも同じように、何かについて勉強をしたり、鍛えたり、修練・練習をするイメージです。 「修業」と「修行」はそれぞれどのような意味で、どのように使い分け […]
「修業」と「修行」は、どちらも「しゅぎょう」と読みます。
そしてどちらも同じように、何かについて勉強をしたり、鍛えたり、修練・練習をするイメージです。
「修業」と「修行」はそれぞれどのような意味で、どのように使い分けをすればいいのかを、以下で徹底解説いたします!
修行の意味
「修行」とは、そもそも仏教用語です。
そもそも「修行」とは仏のさとりを求めるための行為を指し、仏典の中では「行(ぎょう)」とのみ呼ばれ、「修行」と呼ばれることはありません。
- 「行(ぎょう)」の中心的なものは「正行(しょうぎょう)」
- その補助的なものは「助行(じょぎょう)」
- 特に苦しいものは「苦行(くぎょう)」
- その中でもっとも過酷な肉体的苦痛を課すものは「荒行(あらぎょう)」
と、それぞれ呼ばれています。
修行をする僧侶のことを「修行僧」と呼びますが、「行者」と呼ばれることもあります。
以上のように仏教の「行(ぎょう)」を「修める(おさめる)」のが「修行」です。
仏教とは関わりがない「学問・技芸などを習い修めること」や「職業的な生業を習得すること」とは、本来区別して使われますが、広い意味で使われる場合もあります。
修行の使い方を例文で解説
ここで、修行の使い方を例文で見ていきます!
- 「私は3年前に仏門に入り、毎日修行を行っています」
- 「四国八十八箇所を巡るお遍路の中で、高知の札所16箇所は“修行の道場”と呼ばれている」
- 「彼が厳しい修行の中で得たものは、一体なんだったのだろうか」
- 「冷たい滝に打たれる修行・滝行で自分を見つめなおしたい」
- 「高野山で修行を積み、今はこちらのお寺で住職を務めております」
「修行」は僧侶の「行(ぎょう)」の他、四国八十八箇所めぐりなど、托鉢 (たくはつ) ・巡礼して歩くことも「修行」です。
修業の意味
「修行」が仏教の「行(ぎょう)」を修めることに使われるのに対し、「修業」は俗世間の様々なことを修める行為に使われます。
「学問・技芸などを習い修めること」や「職業的な生業を習得すること」が「修業」にあたります。
学問・技芸などを規定の課程や年限を修了したら、その修業の証として修業証書が発行されることもあります。
「修業証書」は「しゅうぎょうしょうしょ」と読むように、「修業」は「しゅうぎょう」とも読まれます。
修業の使い方を例文で解説
続いて、修業の使い方を例文で紹介します。
- 「修業中の身ですから、人に教えるなんてとんでもない」
- 「来年の春には修業を終え、独立したいと思っています」
- 「一人前の職人になるためには、10年間の修業期間を耐えなければならない」
- 「2年の間この学校で学び、無事修業証書を受け取ることができました」
- 「修業まで耐えられず逃げ出したので、家具職人にはなれなかった」
職人になるためなど、学問・技芸など学ぶ、あるいはスキルを習得するために行うのが「修業」です。
修行と修業の違いを徹底解説
- 「修行」は仏教的な行為
- 「修業」は逆に俗世間で自分の利益のために様々な学問・技芸・スキルなどを身につけるために行う行為
というのが一番の違いですね。
わかりやすい違いとして「修業」には「卒業」がありますが、「修行」には「卒行」はありません。
悟りを開くための「行」には終わりがなく、ずっと続けるのが「修行」です。
ただし、一般的には「学問・技芸などを習い修めること」の意味合いでも「修行」を使う事例はあります。
その一つが「武者修行」です。
「武者修行」は元々武士が諸国を遍歴し、武士としての資質を高めるため、武芸を始めとする知識・技能・精神力などを獲得しようとした行為です。
今では、剣道や柔道を始めとする武道、あるいは華道などまで、精神的な鍛錬を含み到達点が不明確なことに対しては「修行」を用いることがあります。
また「飯炊3年握り8年」と言われる寿司職人など、厳しく長い下積みを求められる職人の世界でも、「修行」が用いられています。
国語辞典においても、「修行」の意味の中に「修業」と同じ意味の「学問や技芸を磨くため、努力して学ぶこと。」と書かれていて、決して間違いではありません。
最近では、航空会社のマイレージを貯めるために飛行機に搭乗する行為は、その苦行のような行為から「マイル修行」と呼ばれています。
広い意味での「修行」は、宗教的な行為に限らず、「修業」に近い意味でも使われています。
花嫁「しゅぎょう」はどっちの漢字?
では最も間違えることが多いとされる「花嫁しゅぎょう」は「修行」と「修業」のどちらの漢字を使うのが正解でしょうか?
一般的には「花嫁修業」が使われます。
花嫁修業では、料理など一般的な家事を学ぶのが中心になりますが、華道も花嫁修業の一つです。
華道では「修行」という言葉が使われることもありますから、花嫁修行でもよいように思えます。
しかし花嫁修業で学んだ場合は、華道家となってその道を永遠に追求することはありませんから、やはり「修業」の方が相応しいと言えます。
まとめ
修業と修行の意味の違いや使い分け方、いかがでしたでしょうか。
まとめると以下のようになります。
- 「修行」は元々仏教用語であり、仏教的・宗教的なさとりを求めるための行為を指す
- 「修業」は世間一般の学問・技芸などを習い修める行為を指す
- 学問・技芸でも、精神的な鍛錬を含み、到達点が不明確なものには「修行」も使われている
狭義の「修行」は仏教的・宗教的なものですが、昔から宗教的な行為以外にも広く使われているため、使い分けが難しい言葉です。
この記事を読んでうまく使い分けできるようになってくださいね!