されるとなさる、敬語の意味の違いは何?例文で使い方を詳しく解説!

されるとなさる、2つの敬語の意味の違いについて詳しく考察していきます。   ~される ~なさる   どちらも耳にする敬語ですよね。 さて、これらの言葉ですが、その違いについてはしっているでしょうか? […]

されるとなさる、2つの敬語の意味の違いについて詳しく考察していきます。

 

  • ~される
  • ~なさる

 

どちらも耳にする敬語ですよね。

さて、これらの言葉ですが、その違いについてはしっているでしょうか?

 

今回は、「される」と「なさる」の違いや使い方について、一緒に見ていきましょう!

記事は下に続きます。

2つの敬語「される」と「なさる」

それぞれの敬語の説明をする前に…

「される」も「なさる」も、「する」という動詞の尊敬語です。

 

尊敬語・謙譲語・丁寧語…学校で習いましたよね、覚えていますか?

軽くおさらいしましょう。

 

まず、尊敬語は自分より目上の人がすることに使用します。

 

  • 「先生が食べる→召し上がる」
  • 「上司が帰る→お帰りになる」
  • 「先輩がくれる→くださる」

 

などですね。

謙譲語は自分がすることをへりくだって言う時に使用します。

 

  • 「(私が)プレゼントをもらう→頂く」
  • 「(私が)道を聞く→うかがう」
  • 「(私が)意見を言う→申し上げる」

 

などです。

 

どちらも目上の人に対して使いますが、身内には使用しないので、自分より上の両親や祖父母などに「プレゼントを頂いた」とは言いません。

家の中ならまだ良いですが…外で「昨日父がニュースを見ておっしゃっていたのですが…」なんて言うと非常に恥ずかしいので気を付けましょう。

 

最後に丁寧語ですが、これはただ相手に丁寧な言葉で話す場合に使用する表現なので、目上・目下など相手や内容は関係なく使用できますよ。

私たちが普段よく使う「~です」「~ます」も丁寧語の1つです。

 

では、本題に戻って尊敬語の「される」と「なさる」の違いについて見て行きましょう。

されるは手軽な尊敬語

尊敬語の中にも簡単な尊敬語と、より丁寧な尊敬語が存在します。

「される」は「なさる」よりも、敬意の低い尊敬語です。

 

というのも、「される」は「する」の受身形と同じ形。

つまり手軽に尊敬語を作る際に使用する表現だからです。

 

他にも受身形と同じ形の尊敬語には

 

  • 「食べる→食べられる」
  • 「来る→来られる」
  • 「見る→見られる」

 

などがあります。

この形は基本的に、どんな動詞にも使うことができるので覚えておきましょう。

 

とはいえ、受身形と同じ形と言うことは、使い方によっては受身の表現と間違えられやすいので注意が必要です。

例えば「部長は会議について相談されました」という文の場合…

 

「部長が誰かに相談した」という尊敬の意味なのか、はたまた「部長が誰かに相談された」という受身の意味なのか、非常に判断がつきにくいです。

 

受身の場合は変えようがないのでこのままで大丈夫ですが、尊敬の意味として使用するならばもう1つの表現「なさる」を使用して「部長は会議について相談なさいました」とした方が、尊敬としての意味が通りやすいです。

 

では次に、「なさる」について詳しく見て行きましょう。

なさるの方がより敬っている言葉

前述の通り、「される」よりも「なさる」の方が敬意が高く、より尊敬の意味が強くなります。

「なさる」を使用する場合、

 

  • 「申し込みする→お申込みなさいます」
  • 「投票した→ご投票なさいました」

 

などのように、前の言葉に「お」や「ご」をつけ、文末は「ます」「ました」など丁寧語で締めるのが正式な形なので注意しましょう。

 

ちなみに、外国人に日本語を教える時などは「なさる」は特別な尊敬語としてえます。

尊敬語には、

 

  • 行く、来る、いる→いらっしゃる
  • 食べる、飲む→召し上がる
  • 見る→ご覧になる
  • 言う→おっしゃる

 

などのように元の動詞の形からの変形が大きい言葉がいくつかあり、「なさる」も元の動詞「する」から大きく形を変えたものなので特別な尊敬語として扱われます。

 

特別な形なので、基本的には「される」のように他の意味と混同することがなく安心…

かと思いきや、「なさる」にもちょっとした落し穴があります。

 

それは命令形の「なさい」です。

 

例えば「パンとライス、どちらになさいますか?」の場合は「どちらにしますか?」の尊敬語ですが、「昨日パンを食べたから今日はライスに(し)なさい」だと「ライスを選べ」という命令の意味になるので当然目上の人に対して使用できません。

 

しかし「おかえりなさい」「おやすみなさい」などの挨拶は、最後に丁寧の「ませ」をつければ目上の人にも使えますよ。

何やらややこしいですが…とにかく同じ「なさい」という形でも命令の意味になるものはNG、ということですね><

例文で使い方を解説!

2つの違いがわかったところで、具体的に「①される」と「②なさる」を使った例文を見て行きましょう。

 

・田中さんは奥さんを大切にしている
  1. 田中さんは奥さんを大切にされています
  2. 田中さんは奥さんを大切になさっています

 

社長のお兄さんもテニスをしますよ
  1. 社長のお兄様もテニスをされますよ
  2. 社長のお兄様もテニスをなさいますよ

 

佐藤先輩が〇〇社の役員に就任したそうですね
  1. 佐藤先輩が〇〇社の役員に就任されたそうですね
  2. 佐藤先輩が〇〇社の役員にご就任なさったそうですね

 

部長は学生の頃、部活で活躍していたそうです
  1. 部長は学生の頃、部活で活躍されていたそうです
  2. 部長は学生の頃、部活でご活躍なさっていたそうです

 

体を大事にしてください
  1. お体を大事にされてください?
  2. お体を大事になさってください

 

無理をしないよう、ご自愛ください
  1. 無理をされないよう、ご自愛ください?
  2. ご無理をなさらぬ(なさらない)よう、ご自愛ください

 

「される」も「なさる」も同じように使用できる場合が多いですが、最後の2つ「大事にされてください」「無理をされないよう」は、ちょっと変な感じがします。

「大事にされてください」という言い方は普通しませんし、「無理をされない」も受身の意味として捉えられてしまう場合があるかもしれません。

 

それ以外も、「される」で意味は通じますがやはり「なさる」の方がより丁寧で尊敬の意味が強いような印象です。

「される」がダメ、間違い、ということはありませんが、「なさる」を使用することを習慣づけておいた方が、何かと便利そうですね!

 

まとめ

今回は、2つの敬語である「される」と「なさる」の意味の違いについてご紹介しました!

 

「される」も「なさる」も「する」の尊敬語、目上の人のすることに対して使用しますが、「なさる」の方が敬意は高くなります。

 

また、「される」は受身の意味と混同する可能性もあるので、個人的には「なさる」を日常的に使用した方が無難なのでオススメです。

せっかく敬語を使っても、使い方や意味が正しくなければ「ものを知らない人」だと思われ、残念な印象を与えかねません。

 

美しい敬語で目上の人に好印象を与えましょう!