覇者と覇王の意味の違いを解説!王者との使い分けも紹介

あなたが「覇王」と聞いて連想する人物やキャラクターは誰ですか? あるいは「覇者」や「王者」では誰を連想するでしょうか?   「覇者」「覇王」「王者」それぞれの意味、違いや使い分けを正しく理解している人は少ないと […]

あなたが「覇王」と聞いて連想する人物やキャラクターは誰ですか?

あるいは「覇者」や「王者」では誰を連想するでしょうか?

 

「覇者」「覇王」「王者」それぞれの意味、違いや使い分けを正しく理解している人は少ないと思います。

今回は、頂点に位置する人を示すこれら3つの言葉の意味や違いについて徹底解説いたします!

記事は下に続きます。

覇者と覇王の違いを紹介

「覇者」と言う言葉は、「リーグ覇者」などスポーツの世界などでよく使われている言葉です。

 

「覇者」の「覇」は、「連覇」「制覇」など、スポーツで優勝することを主に指しています。

 

しかし、「覇」の本来の意味は、「はたがしら。武力で天下をしたがえるもの。」であり、それが転じてスポーツ用語としてよく使われるようになりました。

では「覇者」と「覇王」の違いは、なんでしょうか?

 

まず「覇者」ですが、そもそもは春秋時代の中国において、周王朝下の諸侯(君主)に与えられた名誉「覇」を得た者の尊称です。

春秋時代も名目的には周王朝は存在し、権威も残っていました。周王朝の下で諸国を束ねていた大諸侯が「覇者」です。

 

しかし戦国時代に入ると周王朝の権威は失墜し、7つの大国(戦国七雄)の君主がそれぞれ「王」を名乗るようになります。

中国・戦国時代の儒学者・孟子(紀元前372年?~紀元前289年)は、政道(政治の手法)を「王道」と「覇道」に分けました。

 

「王道」と「覇道」、それぞれ次のような意味です。

 

  • 王道:徳によって本当の仁政を行う政治
  • 覇道:武力や策略・謀略によって天下を支配する武断政治

 

王道を行うのが「王者」であり、覇道を行うのが「覇者」になります。

儒教の教えはそもそも、仁徳によって治める「王道」を理想としており、それに対して武断政治を行う戦国時代の覇者たちに「覇道でなく王道を行うべき」だと説きました。

 

しかし秦が制して戦国時代の終わりが近づくと、その区別の意味がなくなります。

その後に登場するのが「覇王」という言葉で、秦滅亡後に「西楚の覇王」を名乗ったのが項籍(項羽)でした。

 

「覇者」も「覇王」も、徳によらず武力や策略で諸侯を従え、天下を治めることですから、意味としては同じです。

時代背景から言えば「王者になろうとした覇者」と言えるかもしれません。

覇者の意味

上記のように、「覇者」とは武力や策略・謀略によって天下を治めた者のことです。

「覇者」の代表が春秋時代の中国で周王朝に代わって各地で天下を治めた「五覇」と呼ばれる諸侯です。

 

日本の戦国時代で言えば、各地の戦国大名が「覇者」に当たるでしょうか。

その後は、「覇者」は単に軍事的に強い者を意味する言葉へと変化しました。

 

それがさらに転じて、現在ではスポーツや武道の大会、あるいは何かを競って戦う競技会の優勝者を「覇者」と言うようになっているのです。

覇者の使い方を例文解説

「覇者」を使った例文をご紹介いたします!

 

  • 「春秋時代の紀元前651年、斉の第16代君主・桓公は諸侯と会盟を執り行い、覇者となった。」
  • 「春秋時代の覇者は一体何人いたのだろう?」
  • 「昨年の覇者として恥ずかしくないプレーをしたいと思う。」

 

いずれにせよ言えるのは、「覇者」とは何かを競って頂点に立った人物のことを指す言葉だというのがわかりますね。

覇王の意味

覇者・覇王・王者の違い

上記で述べたように、「覇王」は項籍(項羽)が名乗ったもの(作った称号)です。

「覇者」の中で最も偉いのが「覇王」という意味でも、チャンピオンが集まった大会で優勝したグランドチャンピオンという意味でもありません。

 

現在では「覇者」は競技会などの優勝者に与えられる尊称となっていますが、「覇王」は一般的な言葉として使われることはほとんどありません。

覇王の使い方を例文で紹介

「覇王」を使った例文をご紹介いたします!

 

「秦に対する造反軍の中核となって秦を滅ぼした項羽は、西楚の覇王を名乗った。」

「織田信長は、覇王と呼ぶべき存在ではないだろうか」

 

織田信長は魔王とも呼ばれていますが、その生き様はある意味では覇王とも言えますね(;・∀・)

王者の意味と使い方

「王者」も上で述べた通り、徳によって本当の仁政を行った者を意味します。

孟子は、春秋時代より前の夏、殷、周の王を、徳によって本当の仁政(王道)を行った王者として、これを目指すべきだと主張していました。

 

現在では、「覇者」と並び競技会などの優勝者を称する言葉としてよく使われています。

特にボクシングのようなランキング型の形式では「チャンピオン」を日本語で「王者」と訳されています。

覇者・覇王・王者の使い分け

中国の歴史上、覇者・覇王・王者はそれぞれ次のように使い分けられます。

 

  • 覇者:武力や策略・謀略によって天下を支配する者
  • 覇王:項籍(項羽)が名乗った称号
  • 王者:徳によって本当の仁政を行う者

 

現在は、「覇者」と「王者」が競技会などの優勝者を表す言葉として使われていますが、どちらを使っても間違いではありません。

その競技会で公式に使っているのがどちらか、あるいはこれまでどちらを使ってきたによって使い分けるのが通例です。

まとめ

覇者・覇王・王者の違いや使い分けについて解説いたしました。

国語や歴史の教科書に出てくる孟子の名前を聞いて懐かしいと思った方もいたのではないでしょうか。

 

覇者・覇王・王者は、紀元前から使い分けられていた言葉だったのです。

そして歴史的に、その区別の意味がなくなっていきました。

 

現在はスポーツの競技会やその報道でよく使われる言葉ですね(^^)

新聞や雑誌のスポーツ記事でどのような使われ方をしているか、今度目にした時に是非チェックしてみてくださいね!