普段よく見かける言葉でもなんだか曖昧な言葉ってありますよね。 「帰路につく」という言葉もその一つだと思います。 口語の中ではあまりこの言葉は使わないかもしれませんが、小説やナレーションなどではこの言葉はよく […]
普段よく見かける言葉でもなんだか曖昧な言葉ってありますよね。
「帰路につく」という言葉もその一つだと思います。
口語の中ではあまりこの言葉は使わないかもしれませんが、小説やナレーションなどではこの言葉はよく見たり聞いたりしますよね。
「帰路につく」は経験や字面から、意味はわかる方も多いのですが、問題なのは「つく」の方です。
ここではあえて平仮名にしていますが、この「つく」は「就く」なのか「着く」なのかどっちなのでしょうか?
そこまでしっかりと言葉を理解している人って少ないと思います。
ここではそんな、知っているようで知らない曖昧な言葉「帰路につく」について解説をしたいと思います。
帰路につくの意味
それではまず、「帰路につく」の言葉の意味からおさらいしてみましょう。
帰路につくは文字通り「帰路」と「つく」という2つの言葉から成り立っています。
ではまず帰路の意味ですが、簡単に言ってしまえば「帰り道」です。
これはもう漢字からも意味はわかりますよね。
では今度は「つく」ですが、正直つくには数えきれないほどの意味があります。
つくだけでも、付く、着く、就く、吐く、突く…
これらのいろいろな意味がありますが、帰路が帰り道のことを刺しているので、やはり到着などの意味がある「着く」と就任などの意味がある「就く」のこの二つに絞られるでしょう。
どちらしても、ニュアンスとしては「その状態になる」という意味があるので、「帰路につく」は「帰り道の状態になる」と読み替えることができて、イコール「帰っている」という意味になります。
帰路につくの使い方を例文で解説!
ではその「帰路につく」の使い方を実際に例文で解説をしていきましょう。
友達とたくさん遊んだ後、(家への)帰路についた。
意味としては、「友達とたくさん遊んだ後、家へと帰った」で、すぐにわかると思います。
ただここで注意をして欲しいのは「帰路についた」という言葉を使う場合、あまり目的地である場所は示さないことが多いです。
これは「帰路につく」がそのまま「家へと帰る」というニュアンスが強く、それに家という情報は余剰になるからだと考えられます。
もちろん帰路につく自体は「帰っている」という情報ですので、家へと情報を付け加えても、意味は重複はしません。
ですが「帰る」という言葉では目的地である場所、例で言うと家の情報が付加されて「家へ帰る」になりますが、「帰路につく」ではそのまま何も付加されず使われるということを覚えておきましょう。
逆に「帰路へ帰る」などと言うと、これは「帰る」が重複してしまうので使い方としては誤用となります。
試合に負けて、トボトボと帰路につく
これはトボトボという修飾語が「帰路につく」の様子を表していますね。
なんだか夕暮れの河川敷を、落ち込みながら帰っていく少年を思い浮かべるのは筆者だけでしょうか笑?
足取り軽く、帰路につく
逆にこれは、ルンルン気分で帰っている様子を表した言葉になりますね。
このように帰路につくの場合は帰り道を表しますが、その目的地は家とわかっていることが多く、省略されることが多いです。
また「帰る」の重複表現には注意をしましょう。
あまり口語では使わない言葉ですが、文章を書いていると何かと便利な言葉ですのでぜひ使いこなせるようにしましょう。
帰路に「つく」は就くと着くのどっち?
では「帰路につく」の意味や使い方がわかったところで、「帰路につく」の「つく」は着くなのか就くなのかどちらなのでしょうか?
結論から言えば、これは「帰路に就く」が正解になります。
実際に、「きろにつく」を変換してみると一番最初には「帰路に就く」が来ると思います。
あまりしっくり来ないかもしれませんが、これは着くと就くの意味をよく考えてみるとわかると思います。
まず正解じゃない「着く」ですが、これは上記で書いた通り、「到着」などの意味があり、その状態になる意味もありますが、動いているものが止まるニュアンスが強いです。
ですので言うならば、「帰路についた結果、家に着いた。」ということになります。
帰路についている時は動いている状態ですので、「着く」が正しくない、意味がそぐわないというわけです。
では正解の「就く」ですが、これも上記の通り「就任」という意味があり、これは正に今その状態になっているというニュアンスになります。
「大臣に就任する」「課長に就任する」「部長に就任する」これらの例は正に、今その状態になっていることを表しています。
これらのことにより「帰路につく」は「帰路に就く」が正解になります。
帰路につくの丁寧語はこれだ!
丁寧語ですが、意味としては相手に対して物事を丁寧に言う時に使います。
ですので、結局は語尾に「です・ます」を言えば丁寧語になります。
ですので帰路につくの丁寧語は「帰路につきます」、これでOKです。
ただ帰路につくは口語で使うことが少ないので、丁寧語形式を使うのは珍しいかもしれませんね。
帰路につくを敬語に直すと
敬語は尊敬語のことを指し、相手を立てる際に用います。
ですので帰路につくの場合は「帰路につかれる」が敬語になります。
ただこちらも丁寧語同様、あまり使う機会はないと思います。
まとめ
今回は、帰路につくの意味や、「つく」に使うべき漢字について紹介しました。
帰路につくですが、主に文語として用いられることが多く、使い方は少し特殊ですが、慣れると非常に便利な表現です。
ぜひ、帰路につくの使い方をマスターして、より豊かな文章表現をしてくださいね!