ラーメンの具・トッピングとして知られる「メンマ」。 人によっては「しなちく」と呼ぶ人もいます。 メンマとしなちくは同じもの? それとも材料や製造法に違いがあるの? しなちくを味付けしたらメンマになるってほんと? […]
ラーメンの具・トッピングとして知られる「メンマ」。
人によっては「しなちく」と呼ぶ人もいます。
- メンマとしなちくは同じもの?
- それとも材料や製造法に違いがあるの?
- しなちくを味付けしたらメンマになるってほんと?
知っているようで全然知らないメンマとしなちくの違いや言葉の由来を徹底解説いたします!
メンマとは
「メンマ」とは、ラーメンの具材としてよく知られている、中国産の麻竹 (まちく) の竹の子を茹でて発酵させ乾燥させた食品、またはそれを味付けした食品のことです。
日本ではラーメンの具材として使われる他には、炒めたりゴマを振りかけたりキムチに和えたりするなどして、酒の肴としてもよく食されています。
ちなみに、日本国内で消費されているメンマのうち、99%は中国などからの輸入品で占められています。
しなちくについて
「しなちく(支那竹)」という言葉を知っているのは、40代以上など、ある程度の年齢の人に限られるかもしれません。
「しなちく」や「シナチク」「支那竹」などという名称で売られている商品を、街で見かけることがなくなりました。
「しなちく(支那竹)」とは、一体どのようなもので、それはメンマとどう違ったのでしょうか?
答えは簡単で、「しなちく(支那竹)」と「メンマ」は同じものです。
メンマとしなちくの違いを簡単解説
「しなちく(支那竹)」と「メンマ」に材料や製造法、味などに違いはありません。
かつて「しなちく(支那竹)」と呼ばれていたものが、徐々に「メンマ」と呼ばれるようになり、今では「しなちく(支那竹)」という言葉は死語になってしまったからです。
強いて言うなら名前の由来が違うということですね。
では、そんな2つの違う名前の同じ食べ物の由来を見ていきましょう。
しなちくの由来
支那竹の「支那」とは、漢民族とその土地・文化等に用いられてきた名称です。
中国は長い歴史の中で、王朝や政権の変遷により国号は変わっていますが、それに関わらずその土地・文化に用いることができる言葉として使われてきました。
日本では平安時代に書かれた文書に「支那」という言葉が出てくるなど、古くから使われてきました。
元々はインドから見て中国を「China」と呼んでおり、これは現在でも中華人民共和国の英語読みとして使われている言葉です。
日本ではずっと「支那」という呼称が使われてきましたが、辛亥革命により中華民国が成立したことにより変化が表れます。
侮蔑的な意味で使われることのあった「支那」という呼称を使わないように中華民国から要求があり、日本政府も徐々に変化して1930年以降は公文書での使用が見られなくなりました。
さらに終戦後の1946年には「支那の呼称を避けることに関する件」という外務次官通達がありました。
民間ではしばらく「しなちく(支那竹)」や「支那そば」も使われていましたし、現在でも「東シナ海」などは例外的に使われています。
メンマの由来
同じ頃、台湾から日本へ輸出していた乾燥メンマについて、台湾政府から
「『台湾産』であるのに『SHINACHIKU』とはどいうことだ!」
と抗議を受けて困っている人がいました。
その人とは、台湾出身で丸松物産(当時は前身の台湾貿易商)を経営していた松村秋水会長(故人)です。
困った松村秋水会長は、「しなちく(支那竹)」に代わる呼称として「ラーメン(拉麺)上のマチク(麻竹)」から「メンマ」を考え出しました。
つまり、「メンマ」漢字で書くと「麺麻」です。
この「メンマ」という呼称はすぐには普及しなかったものの、佃煮とらっきょう以外に、柱となる商品を開発しようとした桃屋が、1968(昭和43)年から発売した「味付きメンマ」でCMを売ったことから普及が加速しました。
桃屋の味付きメンマの大ヒットと共に「メンマ」という呼称が普及するとともに、単なるラーメンのトッピングではなく、中華惣菜の一つという認識が広がっていったそうです。
ちなみに
「しなちくを味付けしたらメンマになる」
という説があるそうですが、桃屋の味付きメンマの影響が大きいからかもしれません。
なお、他の商品(非食品)で類似商品があったため、松村秋水会長は「メンマ」を商標登録はできず、それが業界用語から広く一般的な名称として使われた理由の一つだったとか。
(由来には諸説ありますが、「麺麻」説が最も有力な説と言われています)
メンマとしなちくの使い分け方
以上のような経緯から、「メンマ」と「しなちく」は同じものであり、歴史的に呼称が交代した食べ物です。
昭和生まれなら「しなちく」という呼称でも通用するかもしれませんが、平成以降に生まれた人では知らない人がいるかもしれない言葉です。
よって、通常は「メンマ」を使う必要があります。
ただし、戦前や戦後すぐは「しなちく」との呼称が一般的であったので、もしも歴史小説や当時の大衆文化を描く場合には戦後生まれた「メンマ」という言葉を使ってはいけません。
まとめ
「メンマ」と「しなちく」の違いや由来(歴史的経緯)について解説していきました。
このように「メンマ」が昭和40年代以降に普及し、「しなちく」という言葉は使われなくなっていきました。
ある年代以上の人では「しなちく」を使う方がいらっしゃるかもしれませんが、それはこのような歴史的経緯があるからです。
メンマを食べる時は、このことを思い出して食べてみてくださいね!